元suzakuhogosyaの日記

旧京都市営朱雀乳児保育所の元保護者のブログ

2015/11/ 20聚楽保護者説明会(意見交換会)質問事項

2015年11月20日
京都市保健福祉局子育て支援部保育課 御中

聚楽保育所保護者会民間移管対策委員会

京都市聚楽保育所の廃止・民営化にあたっての説明会(意見交換会)質問事項

 2014年8月に『市営保育所の今後のあり方に関する基本方針(改定版)』案が示されて以来、京都市聚楽保育所において、7回の保護者説明会(意見交換会)が開催されました。それらを通じて、これまで保護者より出された意見・質問に対して、一定の回答が得られた事項もありますが、一方で、意見・質問に対して未回答となっている事項や、議論が中途で終わってしまっている事項、また、保護者説明会(意見交換会)を通じて新たに生じた意見・質問等があります。
 そこで、聚楽保育所保護者会・民間移管対策委員会では、これまでの議論を見直し、現時点での保護者としての意見・質問事項を以下のように整理いたしました。意見・質問事項は今後も随時追加する予定ですが、まずは以下の意見・質問事項に対し、明確な、一貫した論理・根拠をご提示いただきながら、誠実にご回答いただきますようお願い申し上げます。なお、1度の保護者説明会(意見交換会)で回答しきれない事項については、回答期限をお示しいただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

1. 回答に対して、沈黙が多すぎます。1分以上回答がない場合は、肯定と判断させていただきたい。

2. そもそも、なぜ聚楽保育所が移管対象保育所に選ばれたのか、『市営保育所の今後のあり方に関する基本方針(改定版)』の記載以上の説明が未だなされていません。移管対象保育所は誰が、どのようなプロセスを経て、どのような条件に基づいて決定したのか、明確で一貫した根拠を提示しながら説明してください。

3. 日本は1994年4月22日に児童の権利に関する条約子どもの権利条約)を批准しています。2015年10月5日の保護者説明会(意見交換会)において、京都市においてもその理念を尊重し、内容を遵守する旨が確認されました。子どもの権利条約第3条第1項には「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」(外務省仮訳、以下同)とありますが、京都市は行政当局として「児童に関するすべての措置」のひとつである市営保育所の廃止・民営化を立案・実行するにあたって、どのように「子どもの最善の利益」の確保を考慮されましたか。また、2015年10月5日の保護者説明会において、2015年3月19日の『毎日新聞』紙上での江口尚志・子育て支援政策監の「(民営化園にいる)個々の子どものメリットというよりも全体的なものを考えなければいけない。民営化で運営費を効率化できる」という発言について、保育課も同様の認識で政策を進めている旨の説明がありましたが、こうした発言・認識と、それらに基づいて進められる市営保育所の廃止・民営化が子どもの権利条約、特に第3条第1項に矛盾するものでないことを、明確な根拠を提示しながら論証してください。なお、この場合、「乳幼児期における子どもの権利」および子どもの「最善の利益」については、国連子どもの権利委員会の一般的意見7号「乳幼児期における子どもの権利の実施」(2005年)および同一般的意見14号「自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利」(2013年)に準拠して解釈されるものでしょうか。

4. 子どもの権利条約第12条第1項には「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」、同条第2項には「このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」とあります。市営保育所の廃止・民営化をめぐって、子どもたち自身の意見表明の機会はどのように確保される予定ですか。また、すでに民営化が実施された元市営保育所においては、子どもの意見表明の機会はどのように確保されましたか。なお、この場合、「乳幼児期における子どもの権利」および子どもの「意見表明権」については、国連子どもの権利委員会の一般的意見7号「乳幼児期における子どもの権利の実施」(2005年)および同一般的意見12号「意見を聴かれる子どもの権利」(2009年)に準拠して解釈されるものでしょうか。

5. 市営保育所の民営化によって、保育所運営費の削減が期待されると繰り返し説明されてきましたが、削減される予定の運営費相当分の使途を明確にしてください。なお、朱雀・室町の両乳児保育所の民営化の主たる理由として「6年間を見通した保育」の実現が挙げられていました。したがって、両乳児保育所の民営化によって削減された運営費を「小規模保育」の拡大に使うのであれば矛盾していることになります。「小規模保育」は6年間の保育を保障しておらず、また、入所選考のポイント制導入によって、乳児保育所の民営化前よりも優先されなくなっています。

6. 最初の説明会で移管に対して、市が責任を持つと説明されたが、移管先で重大事故が起こったとき、市担当者と選定先を選定した選定委員の方々が責任を取ることになります。選定委員の方々には、市が保護者に対してそのような説明を行っていると説明した上で、委員を引き受けていただいていますか。また、市担当者の方々も十分に理解した上で、選定をしていただいていますか。

7. 民営化(民間移管)に対して京都市が果たす責任は具体的にどのようなものですか。民営化(民間移管)完了後は、京都市として、通常の「認可保育所を認可する責任」に加えて、「民間に移管した責任」を果たし続けるものですか。

8. 現行の保育の引き継ぎは「当分の間」おこなわれるとのことですが、その「当分の間」以降は引き継がれないことになりますか。また、移管後3年以内に第三者評価を受審するとのことですが、3年以内の第三者評価では、「当分の間」以降の保育の質の維持・継承は保障されないのではないですか。

9. 移管先の重大な違反の内容が未だ示されていません。いつになったら、出していただけるのですか。また、この判断は誰が行い、次の法人は誰が決めるのですか。

10. 昨年11月に市営保育士の給与と延長・早朝保育、土曜保育、お盆の保育等の内訳の提出をお願いしておりましたが、未だ出されていません。いつになったら、出してもらえますか。明確な日付を提示してください。

11. 選定は、保護者にとって子供達の安全と命がかかっている、重要事項です。保護者が情報を知らされないのは、ありえないことです。選定先として応募のあった法人は、保護者に必ず公表してください。

12. 三者協議会の傍聴は、すべての保護者の権利です。移管後に京都市が行うべき検証作業を三者協議会に担わせるという見解であれば、保護者と子どもたちに負担をかけることがないよう、三者協議会開催時の保育は必ず京都市が責任もって確保してください。なお、2015年6月22日の第3回選定部会において村上文彦・公営保育所担当課長は三者協議会中の保育について「保育の要望があった2ヶ所については、共同保育中、市の保育士が当たれる。それ以外では横に子どもを座らせるなどして影響はなかった。」旨の発言をされていますが、2015年2月17日の九条保育所(現・永興くじょう保育園)第6回三者協議会の概要では「三者協議会について、役員以外の保護者の方に傍聴を呼び掛けているが、子どもを連れて傍聴することに気を遣って積極的に来られない方が多い。傍聴の方についても保育をお願いできないか。」という要望があり、これに対して移管先法人が「御意見は理解する。限られた人員の中で、職員の勤務体制のこともあり、対応できるかすぐにお答えすることはできない。」と回答しています。先の村上文彦・公営保育所担当課長の発言は、保護者の要望を正確に選定部会に報告しておらず、また移管先法人に対応の余地があったことも伝えていないことになりませんか。選定部会には最低でも、これまでの三者協議会の全概要を資料として開示する必要はありませんか。

13. 移管先の選定にあたって、保護者の意見はどのように、どの程度反映される予定ですか。そのために具体的にどのような手立てを考えておられますか。今年度まで選定部会において行われている、保護者意見の聴取は、保護者が意見を述べる機会として十分なものと考えられますか。

14. 選定委員の方々は、移管対象保育所の保護者から具体的にどのような声・意見が挙がっているのかご存知でしょうか。選定部会における保護者意見聴取以外に、選定委員の方々が移管対象保育所の保護者の声・意見を知る手立てはどのようなものがありますか。また、以前の保護者説明会において各保育所でおこなわれる保護者説明会への委員の出席を求めたところ、「案内を送ることはできる」旨の回答がありました。今後、聚楽保育所で実施される全ての保護者説明会について、選定委員にご案内をお送りしてください。

15. 昨年度の保護者説明会において、移管先募集要項の策定や選定の過程で移管対象保育所の保育士に意見を聴取したり、保育士が選定委員に参画したりすることは不可能ではないため、次回(今年度)の選定委員の選考に際してはそれも含めて検討したい旨の説明がありました。今年度の選定プロセスにおいて、これについて具体的にどのようなことが検討され、それが今年度の選定にどのように反映されたのでしょうか。また、保育士からの意見聴取や選定委員への参画がなされていないとすれば、なぜ実現しなかったのでしょうか。

16. 昨年度の保護者説明会において、選定過程での実地調査について、保護者の関わり方や意見の述べ方について改善の余地があるのではないかという意見に対して、「意見を承り検討します」という回答がありました。今年度の選定部会における実地調査に際して、どのような検討・改善がなされたのでしょうか。また上記意見が来年度以降はどのように反映されるのでしょうか。

17. 聚楽保育所では、これまで地域住民の方々に色々とご協力いただき、子供達もあたたかく受け入れてくださっていました。地域住民の方をないがしろにする事は許されません。地域住民の方々にも民営化の説明をした上で同意を取って下さい。

18. 民間園では、集団検診を行っておられない園もあります。多人数の保育所で子供達の健康を考えれば、集団検診は必須です。選定時に移管後、どこの病院にお願いするのか、契約が完了しているか、確認してください。

19. 選定される法人の方々には、聚楽保育所でどんな保育をしているか、見学に来てもらってください。また、自分たちの保育は何を目標にしているのか、どんな理念があるのか、保護者に対して説明会や見学会を開いてもらってください。

20. 京都市が法人に提示している保育条件は、最低守らなければならない、ぎりぎりのものだと思います。乳児保育をされた事のない法人が選定される場合、もっと早くからの引き継ぎが必要だと思います。4月には、首のすわらない子も担任引継ぎの1月にはつかまり立ちやよちよち歩きになります。できれば、4月からの担任の引き継ぎをお願いします。

21. 例えば、病理保育を行う・共同保育中の保育士の数を増やす・延長保育時間を増やす等、保護者の希望に沿った条件を提示できる法人に対して、ポイントを高くするような事はできますか。

22. 障害児保育については、これまでの保護者説明会(意見交換会)において何度も説明を求めてきたことからも明らかなように、聚楽保育所の保育水準を維持し継承する上で非常に重要な点であると考えています。そこで、障害児保育に関連して、以下の意見・質問に回答してください。
・ 一級(重度)の障害児童の公営保育所と民間保育園における入所数と割合を示してください。
・ 民間保育園よりも「高コスト」であるとして削減される市営保育所の運営費のうち、障害児童など特別なケア・配慮を要する子どもの受け入れに使われる額を示してください。
・ 市営保育所の運営費のが「高コスト」であるとして削減されるということは、障害児童など特別なケア・配慮を要する子どもの受け入れのために使われる運営費についても無駄なものと認識されているということですか。
・ これまでに民営化が実施された元市営保育所における、障害児童など特別なケア・配慮を要する子どもの、民営化前後の入所数・割合とその変化を示してください。
・ 以前の説明会で、民営化されない公営保育所の「機能強化」において、障害児童などケア・配慮を要する子どもの受け入れは量的には拡大されないという回答がありましたが、京都市の保育において障害児童等の受け入れの量的な拡大はどのように確保される予定ですか。また、民営化する保育所での受け入れ数や割合の拡大はどのように確保される予定ですか。
・ これまでと同等の障害児保育を移管先法人に引き継ぐことをどのように保障される予定ですか。少なくとも、障害児保育の引き継ぎに際して、移管先法人の保育士に対して京都市で実施している現行の保育士研修を加えてください。また、民営化前に、移管先法人の保育士に対し十分な研修を実施してください。

23. 多民族化・多国籍化が進む京都市において多文化・多民族共生社会の実現は大きな課題であると考えますが、『市営保育所の今後のあり方に関する基本方針(改定版)』には市営保育所における外国にルーツ・文化的背景を持つ子どもたちへの対応が示されていません。市営保育所と民間保育園における外国にルーツ・文化的背景を持つ子どもたちの受け入れ状況(受け入れ人数)や具体的な対応のあり方等について教えてください。

24. 2014年10月24日の保護者説明会で聚楽児童館との関係について、児童館の存在は聚楽保育所の民営化にあたって特に考慮には入れておらず、児童館事業を所轄する児童家庭課との具体的な調整もおこなっていないが、それについては「今後考えていく」という回答がありました。聚楽保育所は建物の構造上、聚楽児童館と一体的に運営せざるを得ず、災害時の連携等も含めて、何らかの調整は必要であると考えますが、その後、児童家庭課とはどのような調整が行われたのでしょうか。また、聚楽児童館の指定管理者との具体的な調整はおこなわれていますか。なお、聚楽保育所が2013年11月に受診した一般社団法人京都府保育協会による「福祉サービス等第三者評価」では「特に良かった点」として、児童館との交流の実施が挙げられています。この点を踏まえれば、聚楽保育所の民営化にあたって、保育内容や保育水準を維持するためには、児童館との関係を特に考慮する必要があるのではないでしょうか。

25. 子どもや保護者にとって、信教の自由、思想・信条の自由は権利として最大限保障されなければならないと考えますが、市営保育所の民営化によって、宗教法人や宗教法人が運営する社会福祉法人に運営が移管される可能性が存在します。これは移管対象保育所に在所している児童・保護者の「無宗教で保育を受ける」権利(信教の自由には当然ながら「信仰しない自由」も含まれています)を侵害するばかりでなく、京都市の保育全体において「無宗教で保育を受ける」権利を保障する機会の低下を招くことになりますが、それに対し、具体的にどのような対応を考えておられますか。また、民営化後に宗教的理由による転園希望があった場合、どのように対応される予定ですか。宗教法人や宗教法人が運営する社会福祉法人に移管された場合、保育実践のみならず、その保育理念において宗教色を排し、市営保育所の保育理念を維持・継続させますか。

26. twitterには京都市保育課のアカウントがあり、以前は選定部会の開催や会議録のアップロードが広報されていましたが、現在、これらが発信されていないのはなぜですか。市民や保護者が部会の傍聴や会議録の閲覧に至る機会を低下させることにはなりませんか。

27. 京都市が作成される保護者説明会(意見交換会)の「摘録」について、必ず発行日と作成者または発行者、宛先を明記し、決済印公印を押印してください。また、過去の保護者説明会(意見交換会)の「摘録」についても、上記の体裁を整えた上で全て再発行してください。それができないのであれば、できない理由・根拠を明確に説明してください。

28. 保護者説明会(意見交換会)の音声録音の音源は、保護者説明会(意見交換会)の内容を唯一完全な形で再現し得る資料です。必ず永年か、それに準ずる形で保存してください。それができないのであれば、できない理由・根拠を明確に説明してください。また、永年、またはそれに準ずる形で保存できない場合、保護者が録音・録画・保存した音声・動画を公式の資料として承認されますか。

29. 以上の意見・質問に対し、明確な、一貫した論理・根拠をご提示いただきながら、誠実にご回答ください。意見・質問への十分な回答がなされるまで、移管先法人の選定を含む聚楽保育所の廃止・民営化に向けたあらゆる手続きを開始しないでください。

以上