元suzakuhogosyaの日記

旧京都市営朱雀乳児保育所の元保護者のブログ

第2回選定委員会での保護者意見

参考:第2回京都市保育所移管先選定等委員会摘録

http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000123/123681/240618dai2kaitekiroku-saisyuu.pdf

朱雀乳児保育所の保護者の意見
2012年6月18日 朱雀乳児保育所保護者会

1) これまでの保護者へのアンケート調査の結果の扱い(アンケートは去年の8月に全市営保育所でおこなわれたものですが、公表はされず、審議会ではわずか10分程度触れられただけで、しかも大変不評だったと聞いています)や説明会での説明などを見ていて、行政の姿勢は民間移管という結論ありきのように見えます。市民や私たち保護者の民間移管に反対や危惧する意見は無視され、「市営保育所の今後のあり方についての基本方針」にはまったく反映されていません。そもそも「基本方針」の策定過程において、審議会で一度も保護者が意見を述べる機会さえありませんでした。これで、保育を受ける権利のある子ども・保護者に対して保育をおこなう義務を負う行政が、本当にその責任を果たしているといえるでしょうか。
本日の保護者意見の聴取も、「移管を円滑に進める」ためだけの形式にすぎないのではないか、本当に移管の対象候補になっている保育所の保護者の意見を取り入れて移管の対象にしないようにしてもらえるものなのか、と危惧しています。どうぞ市営保育所移管先選考等委員会の委員の皆さまにおかれましては、これ以上保護者が不安や不信を抱かなくてもすむように、保護者の意見を取り入れ、乳児保育所を移管の対象にしないよう、よろしくお願いします。

●「ああ、どうせ意見を言ったところで、聞き入れて下さらないんだろうな…」というのが本音です。

●3月の説明会では保育課の課長さんから「民間移管を掲げた市長が当選したのだから」という発言がなされ、反対意見にあまり真摯に答えて下さいませんでした。第1回目の移管先選考等委員会の開催についての広報がインターネット上のみで、当該保育所保護者への書面でのお知らせもありませんでした。本日の保護者意見の聴取の日程調整も拙速で、5月の説明会の際に翌日までに都合のよい日を知らせるよう言われ、保護者会役員の間でどうにか調整をしましたがけっきょく保護者の都合とは関係のない日に決められました。これまでも「基本方針(案)」を策定するプロセスでは、京都市保育所保護者会連絡会から何度も要望書を出しても、保護者の意見は審議の場で一度も述べられる機会を設けてもらえなかったとも聞いています。

●「市営保育所の今後のあり方についての基本方針(案)」に対するパブリック・コメントについても、寄せられた意見のほとんどが民間移管に反対であったにもかかわらず、けっきょく「基本方針」にはまったく反映されておらず愕然としました。私は民間移管の対象の候補となった保育所の保護者としてパブリック・コメントを送りましたが、とりまとめられた「市民意見の結果」では、自分の意見がどれかよくわからないかたちでまとめられていました。選考等委員会の委員の皆さまはパブリック・コメントをまとめれたものではなく、全部に目を通されましたか? これだけの反対意見がある「基本方針」に沿っての民間移管には問題があると思われませんか?

●今年4月入所の際に、民間移管の話などまったく聞かなかったので、たいへん戸惑っています。在園の途中で保育のありようが変わることを心配しています。横浜市立保育園廃止処分取消請求事件最高裁判決(2010年11月26日)での判断は、「保育の実施期間終了まで、その保育所で保育を受ける権利が認められた」「在園児が居る限り、当該保育所は廃止できない」というものです。この判決趣旨からすると、少なくとも現在入所している子どもたちが卒園するまでは民間移管はできないと思います。2年間での移管という行政の進め方はあまりに拙速で問題があると思います。
2) 市営保育所の保育士が民間と比べてコストがかかるからという理由での朱雀乳児保育所の民間移管に反対します。

●「市が財政難なので、民間の保育士のほうがより若くて人件費が安いから、市営保育所を民間移管する」、という説明会での説明にまったく納得できません。民間に若い保育士さんが多いのは、それだけ長く働くことが難しい労働環境だからではないでしょうか。また、年齢が高くても能力があるとはかぎらないという「京都市社会福祉審議会」で出された意見も紹介されましたが、それは市営保育所にかぎったことではなく、民間移管の理由にはならないと思います。人件費を削りたいためだけの理由で、子どもたちに多大な影響を与える民間移管をするのは本当におかしいと思います。考え直してほしいです。

●“コスト重視”ということで今のところ行政からの説明を受けていますが、“コスト重視”だけの理由で民営化というのは反対です!!もちろん、民営ならではの特性はあると思います。公立でもいい点はあると思います。コストだけで民営化されるのは、納得できません。

●保育士の先生方の保育も園によって違います。保育所選びも真剣に考えました。ていねいに保育をして下さるだろうと、保育士の方の様子も見させていただいて決めました。通いはじめて2ヵ月たちましたが、予想よりもはるかに色々な体験を子どもにさせて下さって、とても感謝しています。そんな保育士さんたちは専門性を生かして…ということですが、勝手に方針を出されても、保育士さんたちも不安になるだけだと思います。どんな保育士さんでもOK!というわけではありません!! 公立の保育園を残してください!!

●なぜ乳児保育所が民間移管の対象にされるのか理解できません。産休直後から働かなければならない保護者にとって途中入所のできる乳児保育所の役割は絶対に必要なものです。

●説明会で、途中入所でも生後8週目からの乳児保育をしている民間保育園の地域分布や官民での受け入れの割合などを質問したところ、「手元に資料がない」とのことでした。市の乳児についての施策全体の中で今回の民間移管がどのような位置づけになるのか、まったく説明がありません。コストがかかるから民間移管するというだけでは乳児保育の施策として、とても不安です。

乳児保育には、保育士1人に対する子どもの割合だけでなく、もっとコストがかかるものだと思います。民間移管によってコストを削減されることで、現在おこなわれている乳児保育サービスが削られていくことを心配しています。すでに市独自のサービスであった布おむつの提供も、市の財政難を理由に廃止されました。お昼寝用の布団の提供と合わせても子ども1人に月に700円に満たない支出を削って、本当に市の財政難が改善され、官民格差がなくなったといえるでしょうか。もっと他に押さえるべき支出があるように思います。民間移管が保護者の負担が増える結果になるのではないかと危惧します。

3) 説明会では保育サービスの質について、「現状維持」「むしろ民間移管でいまよりもっと良くなる」という話がありました。「基本計画」では「保護者の意向を十分に踏まえる」とはありますが、「現状維持」のための具体策がありません。これまでのように保護者不在のままで民間移管が強行されていけば、「現状維持」も危ういのでないかと思いますので、保護者の意見を取り入れていってほしいと思います。

●募集要項や選考基準に私たち保護者の意見をとり入れて、最低でも厳格に現状が維持されるよう、障害のある子どものふくむ、以下のような子どもの生活すべての点について、具体的な条件を明記してください。
・授乳(たとえば、現在のように、冷凍してあずけた母乳を飲ませてもらえる、哺乳瓶が苦手な子どもにはスプーンでひと匙づつあたえてもらえるなど)、
・給食(外部委託などせずに、調理師さんがおやつまで手作りで作ってくれる、アレルギーのある子どもへの配慮など)
・睡眠
・着替え
・排泄 など

●募集要項と選考基準に保護者の意見がとり入れられているかどうか事前に確認できるようにしてください。子ども・保護者にとって問題がある場合には異議申し立てができるようにしてください。

●保護者全員の十分な納得と同意なしに移管先の決定はしないでください。

●「民間保育園は保育士が若いから人件費が安い」と説明会では説明がありましたが、それではたいへん不安です。2004年度に公設民営化した大田区では、経験の少ない保育士が多くいろいろ問題が続出したといいます。勤続年数が12年以上の保育士さんを各クラス1名以上の配置するよう義務づけてください。

●移管先の保育園との引き継ぎや共同保育がどのようなものになるかまったくわからないのでとても不安です。大東市の市営保育所の民営化では拙速な引き継ぎでたいへんな混乱が生じ、子供たちへの怪我なども多く、精神的苦痛に対する損害賠償が裁判で認められるといった事態も引き起こしたと聞いています。引き継ぎや共同保育のあり方については、子どもたちへの影響に最大限の配慮が必要です。大東市の裁判の判決では、3ヶ月間の引き継ぎ期間を短すぎるとして、最低でも1年以上必要としていますが、ただ期間を1年見積もれば影響がないという趣旨ではなく、引き継ぎのあり方も問題にしています。朱雀乳児保育所では、この春に進級して新しいクラスにあがった子どもたちが、担任がそのまま持ち上がりの保育士さんたちであっても、お部屋が変わっただけでも、しばらくはみんなよく泣いていました。子どもにとって環境が変わることはものすごく影響が大きいものだとあらためて感じています。まして民間移管で保育環境が大きく変わることによる影響はどのようなものか、とても不安です。引き継ぎや共同保育のあり方については、現在の保育士さんや保護者と慎重に十分協議してほしいと思います。

●生後3ヶ月目から朱雀乳児保育所に通所しています。安心して育児をする・できる環境にとてもありがたく利用してきました。乳児を育てるとは何か、を保育所が支え導いてくれました。単に「あずける」ことをしてきとは思っていません。大切な大切な成長の一年半は保育所なしでは全然ちがうものだっただろうと思います。今年度も保育所と共にあることを喜んでいます。子どもの養育は個人ではなく社会の義務です。福祉はすべての人に平等に、より豊かな内容で保障されるべきです。不安や不信の中では子育てはできません。市営乳児保育所の果たしている役割・機能の重要性について、民間移管のプロセスの中で軽んじられることがないよう要望いたします。

以上