元suzakuhogosyaの日記

旧京都市営朱雀乳児保育所の元保護者のブログ

京都市営保育所移管先選定等委員会への公金支出についての住民監査請求

1月21日、朱雀乳児保育所の保護者をふくめ5人の請求人により、「条例など議会での議決に基づかず、市の要綱で設置された京都市保育所移管先等選定委員会の委員への報酬(報償費)の支払いは違法または不当な公金支出である」という住民監査請求をおこないました。

京都市は、「条例で設置すべき委員会(地方自治法上「附属機関」)は、その答申が市長の意思決定を拘束するような組織であり、選定等委員会の場合、委員会の意見を聴取した上で最終的には市長が判断するので、そのような委員会に当たらない」というもの。

しかしながら、先日(2/19)に保護者の立場からおこなった以下のような請求人陳述から見ても明らかなように、京都市は移管先選定は委員会がおこうものとして設置していました。選定の権限や責任の所在があいまいなため、委員会での保護者意見(設置要綱第2条にある審議事項の「選定に係る事項」についての)を恣意的に無視するというずさんな議事進行をおこない、私たち保護者の怒りをかったわけです。
さらに、委員会の審査結果(保育内容の低い評価)にも関わらず、「総合的に高い評価」として市長が独断で選定した事実から見ても、何重にも不公正で、移管することだけが優先されたアリバイ的なものだったわけです。

もし監査請求が棄却されてもまだ負けではなく、そこからは住民訴訟のスタートです。


以下は2/19の請求人陳述の原稿です。今回は保護者の分のみ。
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私は、京都市の方針で廃止および民間移管の対象とされた朱雀乳児保育所に子どもを通わせている保護者です。私たち保護者の多くは今回の市営保育所の民間移管に対してとても不安に思っています。そのおもな理由のひとつに京都市保育所移管先選定等委員会に見られる性急かつ強引な民間移管の手続きの進め方にあります。
移管の対象となる市営保育所や移管先の民間保育園の選定は、対象保育所に今現在子どもが通う私たち保護者はもちろん、市民にとっても市の保育施策全体に関わる極めて重要な問題です。
第4回選定等委員会の資料にあった大倉委員の意見書にも、「保育所地方自治法244条1項にいう『住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設』、すなわち『公の施設』に当たります。地方自治体には私立保育所への『支援』とは別に、これを自ら設置・整備する努力義務が課せられています」「市内252園中25園あった市営保育所が、これ(民間移管)により恐らく20〜21園に減少することになります。その場合、京都市の市営保育所の比率は7.9〜8.3%の水準となり、全国の政令指定都市で最も低くなると思われます(平成21年度のデータでは大阪市30.6%、横浜市23.8%、名古屋市43.3%などとなっています)」という指摘がありました。
このように地方自治体に課せられた努力義務に抵触するおそれのある市営保育所の民間移管に直接に関わる選定等委員会が、条例など市議会の議決に基づかずに設置され、報償費が支払われたことは違法または不当な公金の支出であると主張いたします。
また、選定等委員会は、その権限や責任の所在が非常にあいまいな形で設置されたため、移管対象保育所の選定も、移管先の民間保育園の選定もおこなっていません。
選定等委員会の設置要綱第2条には、「委員会は,民間保育園への移管対象とする市営保育所及び移管先法人の選定に関し,次の各号に掲げる事項を審議する。(1)移管対象とする市営保育所の選定に係る事項」とあります。また、第1回委員会の資料8「今後の審議内容について」では、審議事項① 移管対象とする市営保育所の選定に係る事項の内容として、「これら民間移管の対象としたものについて,移管の実施年度とともに, どの市営保育所を移管するかも含めて審議を行う。」とあります。さらに、第1回委員会での事務局の発言として、「当委員会では,上半期は,まず,平成26年度移管対象予定保育所の保護者意見の聴取などを行ったうえで,平成26年度移管対象保育所を選定していただきたいと考えており,その後,移管先法人の募集要項,選定基準の検討を行っていただきたい」(第1回委員会摘録p20)とあります。第2回委員会資料2「 民間保育園への移管に係る今後のスケジュール(予定)」の「平成26年度移管に関する審議」の8月の欄にも、第4回委員会の審議内容として「移管対象保育所の選定」が明記されています。第5回委員会摘録p12でも「委員会での議論の中で,これはいくらなんでも選定できないというようなことがありましたら,必ずしも選定していただくことはないと考えます」という事務局の発言が記されています。
したがって、選定等委員会は、移管対象保育所や移管先の民間保育園について審議し選定するものであったことは明白です。
しかしながら、第4回選定等委員会では、朱雀など3乳児保育所を移管対象保育所にするかどうかの審議をおこなわずに、選定が「確認」されました(第4回委員会摘録p20 “異議なし”とあるが実際は沈黙)。また、移管先候補の選定は、選定等委員会でなく、市長によっておこなわれました。これは昨年12月17日付の京都市保育課の広報資料「『市営保育所の今後のあり方に関する基本方針』に基づく単独乳児保育所の移管先法人及び南区の移管対象予定保育所の選定結果について」p3の「京都市保育所移管先法人等募集要項(以下『募集要項』という。)に基づき,『移管後の運営に係る基本事項について』を遵守できるかどうかを確認したうえで,選定等委員会において応募団体について審査し,総合的に最も高い評価を受けた団体を,市長が選定したものです」という記載より確認できます。

また、この選定等委員会の下でおこなわれた移管先の民間保育園の公募と選定にも問題があります。
公募において、朱雀乳児保育所に応募した3団体(月かげ保育園、朱一保育園、こぐま上野保育園)のうち朱一保育園が、室町乳児に応募した2団体(一乗寺保育園、こぐま上野保育園)のうち一乗寺保育園が、京都市によって「6年間を見通した保育が困難」という理由で申請棄却されました。結果として、今回評価の対象となったのは、月かげ保育園とこぐま上野保育園のみであり、これら2団体をほぼ機械的に各保育所に割り振っただけの「選定」となっています(こぐま上野保育園の点数は月かげ保育園より相当低いため、朱雀乳児保育所が月かげ保育園、室町乳児保育所がこぐま上野保育園となりました)。
審査結果にあるように保育所の移管にとって最も重要な部分であるはずの「保育の内容」が月かげ保育園が24点中15点、こぐま上野保育園が11点と低い評価を受けています。月かげ保育園は0歳児保育をおこなっておらず、こぐま上野保育園は委員から「移管先にはふさわしくない」という意見がありました。合格点を設けなかったため、どんなに低い評価を受けても、1団体でも応募してきていれば「総合的に最も高い評価を受けた団体を,市長が選定」するというのが、今回の移管の実態であり、これでは適切な移管先(保育の質において同等な)を選定するための「公募」としては全く機能していないと言わざるを得ません。また、このような重大な結果を招いた「申請棄却」について、京都市はその判断の根拠やそれを行うための権限の所在について全く明らかにしていません。市は乳児保育を軽視しているのではないかととても危惧しています。「市営保育所の今後のあり方に関する基本方針」p11の「移管先選定等委員会の設置」の項には、「なお,移管先法人の選定を行う際には,移管対象保育所に入所する保護者の意向も十分に踏まえることとします」とありますが、実際の公募と選定のあり方を見れば、まったく保護者の意向は無視されたことがわかります。
このようなことがまかり通ったのも、保護者および市民を無視し、議会での審議や議決を不要とした京都市の怠慢と独断の結果だと思います。上記「基本方針」からさえもかけ離れた公募と選定を可能とした選定等委員会への報償費の支払いは違法又は不当な公金の支出であると主張いたします。

以上です。
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今読み返すと、不十分で荒すぎ、もっと言わなければならないことや別の言い方ができたはずと後悔もしています…。